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揺れる心を“知る力”へ──心理学で深める自己理解の旅

目次


心が揺れたとき、まず「知る」ことから始めよう

人生の中でふと「自分は何をしたいのか」「なぜこんなに迷っているのか」と感じる瞬間があります。そんなとき、ただ漠然と考え続けるだけで、堂々巡りな問答が続くばかりで、出口が見えないまま疲れていくことを繰り返していました。

そこで役立ったのが、心理学という“知るための学び”でした。自分の思考・感情・行動のパターンを丁寧に知ることで、心の揺れを論理的に整理し、新たな一歩を踏み出すきっかけにできたんです。

今回は、「自分」についてとことん向き合うことで得られる “self-awareness” (セルフアウェアネス/自己認識)を軸に、心理学を通して「私という存在」を知り、整えるための道筋をご紹介します。

心理学とセルフアウェアネスがどう結びついているか

“セルフアウェアネス”とは、心理学的には「自分自身を対象として意識できる能力」であり、自分の考え・感情・信念・行動を観察し理解する力」を指します。 (出典:Psychology Today

たとえば、ある総説では「セルフアウェアネスは、私たちが自分自身をどう見ており、環境にどう影響を与えているかを左右する」と述べられています。(出典: Annual Reviews

また、研究では「自己認識が高い人ほど、反省的成長・受容・主体的行動(プロアクティブ性)という有益なアウトカムを示す」ことが明らかになっています。(出典: PMC

さらに、興味深いことに、ある調査では「十分な自己認識を持つ人はおよそ15%」という数値も報告されており、つまり多数の人が“自分を知る”というプロセスを十分には経験していない可能性を示しています。(出典: Harvard Business Impact

このように、心理学が“知る力”としてセルフアウェアネスを支え、私たちが自分らしく生きるための根底になることが、学術的にも裏付けられています。

自己理解を深める代表的な心理学分野

では具体的に、自己理解を深めるために活用できる心理学の領域を紹介します。

認知心理学
記憶・思考・知覚など「頭の中の仕組み」を明らかにし、「私はなぜこう考えたか」「なぜこのパターンを使うか」を探ります。
「自分が“こういう思考をしている/こういう記憶を持っている”という認知構造を知ること」が、自己理解の土台になるという見方ができます。


発達心理学
人生を通じた心の変化を扱い、幼少期から今に至る成長・癖・傾向を理解する手がかりになります。
自己理解の観点から言えば、「自分の成長過程・思考パターンの変化・過去の経験で形成されたスキーマを知る」ことが発達心理学的アプローチの核です。


臨床/カウンセリング心理学
心理的な悩み・葛藤・行動パターンに焦点を当て、「自分の今の状態」を言語化・整理する支援をします。
「なぜこの行動を取るのか」「自分が抱いている ‘感じる劣等’ は何か」「他者や社会との関係性はどうか」を知り、自己理解に直結します。


ポジティブ心理学
強み・ウェルビーイング・成長をテーマとし、「自分らしさ」を活かす視点を提供します。自己理解の視点では、「自分がどの要素で満たされているか/どの要素が欠けているか」を知ることが、内面を整える鍵になります。


これらを組み合わせることで、「私はこういう価値観を持っていた」「この思考癖を使っていた」「この行動の背景にこういう感情があった」といった気づきが得られ、自己理解を深めることにつながります。

日常のどんな場面で心理学が活かせるか

心理学は学術的な世界に留まらず、実は私たちの日常の中でも活用することができるんです。
以下のように、人生の岐路に立った時や問題に直面した時に「自分の期待・反応・癖」を知っておくことで、自分の軸からぶれない選択肢を持ち、適切なタイミングで人生を前に進めることが可能になります。

  • 人生の岐路に立ったとき(選択・決断をする場面)
  • 人間関係がうまくいかないとき
  • 失敗・挫折を経験した時
  • 漠然としたモヤモヤを抱えているとき

実際に、自己理解が高ければ高いほど、メンタルヘルスやウェルビーイングの予測因子になるという研究もあります。(出典: neuroscigroup.us

このように、心理学を“日常の整えるツール”として捉えることで、自己理解はぐっと深まり、「自分が本当に求めている人生を送る」ための考え方を身に着けることに繋がっていきます。

自己理解のカギは「俯瞰すること」──他者視点の活用することのススメ

自己理解の旅は、しばしば「自分の内側を深く見つめる」ことから始まります。しかし、いくら誠実に自己分析をしても、人は自分を完全に客観視することはできません。心理学者カール・ユングが言うように、「無意識は自らを照らすことができない」のです。
つまり、自己理解における最大の壁は、“自分という主観”を超えて、自分を俯瞰することにあります。

この「俯瞰力(メタ認知)」は、心理学でも重要なテーマとして扱われています。自分の考え方や感情のパターンを一歩引いた視点から見つめることで、人はより柔軟に自己理解を進めることができるのです。

しかし、俯瞰することにはある程度の訓練が必要です。内省に慣れていない段階では、どうしても思考がループし、「自分のことが分からない」「整理がつかない」と感じやすくなります。

そこで有効なのが、第三者の視点=他己分析です。
カウンセラーやコーチ、信頼できる友人など、外から見た意見を取り入れることで、自分では気づけなかった思考の癖や感情のパターンを明らかにできます。

心理学的にも、他者からのフィードバックは自己認識の精度を高める有効な手段とされており、特に「Johariの窓」理論では、他者が知っていて自分が知らない「盲点の窓」を開くことが自己理解の成長に繋がると説かれています。

そして、その“第三者的な視点”を得る手段のひとつとして、占いを活用するという選択肢もあります。
占いは、科学とは異なるアプローチながら、象徴やメタファーを通じて“自分では見えなかった側面”を映し出す鏡のような役割を果たします。
たとえば、タロットカードは心理投影のツールとしても用いられ、カードに映る象徴を通して、無意識の思考や感情を言語化する手助けをしてくれます。
また、四柱推命や西洋占星術なども、個々の性格傾向や行動パターンを体系的に読み解く枠組みとして活用できるものです。

要するに、占いを「未来予測の道具」としてではなく、「自己を俯瞰するためのレンズ」として活用すれば、心理学的な自己理解と同様に大きな効果をもたらします。
自分を知るとは、決して一人で完結する作業ではありません。

内省に第三者の光を当てることで、初めて見える自分がいる。
その“気づき”を与えてくれる存在として、占いは今なお、多くの人にとって価値ある伴走者となっているのです。


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