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八百万の物語 ― 日本神話シリーズ:第5章

目次


第5章:現代日本と神々 ― 神話の再来

神々のまなざしで見る、現代の日本

地震や台風、異常気象は、人間の力では制御しきれない自然の大いなる動きとして私たちに問いを投げかけています。
古代の人々は、こうした自然現象を「神々の声」として受け止めました。雷は高天原の怒り、雨は豊穣の恵み、風は祓いの力――それぞれに意味があり、自然の変化は神々の意思とつながっていたのです。
現代の私たちもまた、便利さと引き換えに忘れかけた「畏れ」と「感謝」の感情を、再び思い出す時期に来ているのかもしれません。

神社参拝とスピリチュアルブームの背景

近年、若者を中心に神社参拝や御朱印集めが再び人気を集めています。
また「浄化」「引き寄せ」「ご縁」など、スピリチュアルな言葉が日常に溶け込み、多くの人が心の拠り所を求めています。
これは単なる流行ではなく、混迷する時代の中で、人々が“目に見えない力”に再び耳を傾け始めた証ともいえます。
かつて神話の時代、人々は自然を敬い、季節の巡りや命の循環の中に神を感じて生きていました。
神社はその信仰の中心であり、「神と人をつなぐ場」でした。
現代における参拝ブームは、無意識のうちにその原点へと還ろうとする“魂の記憶”の表れなのかもしれません。

神々は今も日本を見守っているのか?

す。
天照大神の光は「希望」や「再生」の象徴として、須佐之男命の荒ぶる力は「勇気」や「情熱」の象徴として、
そして大国主命の慈愛は「結び」や「共生」の象徴として、今も人々の心の中に生き続けています。
神々は遠い天上の存在ではなく、私たち一人ひとりの中に宿る「見えない力」として、静かに見守っているのです。
災いや困難の時こそ、人の内に潜む神性が呼び覚まされ、光を取り戻す瞬間が訪れます。
それは、古代から繰り返されてきた“神話の循環”の一部でもあります。

「人が神を忘れた時、神話が蘇る」――現代へのメッセージ

現代社会は、科学と合理主義のもとで発展を遂げてきましたが、その過程で「心の豊かさ」を見失いかけています。
しかし、SNSでの感謝の言葉や、神社で手を合わせる人々の姿を見るたびに、
私たちはどこかで“神話の再来”を感じます。
人が神を忘れ、自然とのつながりを失いかけたときこそ、神話は再び息を吹き返します。
それは、古代の物語が現代を生きる私たちに「もう一度、調和を思い出しなさい」と語りかけているようです。

神々の声が聞こえる時代へ

神話は、遠い過去の幻想ではありません。
それは、時代を超えて何度も蘇り、形を変えて私たちの心に響く“生きた物語”です。

便利さや効率を追い求めるあまり、私たちは自然や人との関係を忘れがちですが、神々のまなざしは、今も変わらずこの国を見守っています。

一人ひとりが小さな感謝を持ち、日常の中に「祈り」の時間を取り戻すこと――
それこそが、現代における新たな神話のはじまりなのかもしれません。


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