UnsplashのMickey O'neilが撮影した写真

【解説】日産、横浜本社ビルを約970億円で売却へ 資金確保とリースバック活用

日産自動車が経営再建の一環として、神奈川県横浜市西区にあるグローバル本社ビルを売却する方針を発表しました。売却後も同ビルを賃借して本社機能を継続利用する「セール・アンド・リースバック」方式を採用する見込みです。

売却の背景と目的

日産自動車は現在、業績悪化を背景に抜本的な構造改革を進めています。2026年3月期に特別利益として約739億円を計上する見込みとなる本社ビルの売却は、資金確保と財務体質の改善を狙った重要な一手です。

具体的には、本社ビルを信託設定し、信託受益権を約970億円で譲渡する契約を締結。売却後も建物を20年間賃借して使用を継続します。

売却方式の特徴

このスタイルは「セール・アンド・リースバック」と呼ばれ、企業が保有資産を売却して資金を確保した上で、同じ資産を賃借して使用し続けるものです。日産自動車にとっては、固定資産を現金化して財務改善へつなげつつ、業務拠点を移転せずに事業運営を維持できるメリットがあります。

今後の影響と課題

売却による約739億円の特別利益計上は、経営改善のプラス材料となります。一方で、賃借料負担が将来にわたって発生するため、長期的な賃料契約の内容や賃借条件が利益改善に与える影響も注意が必要です。また、資産売却という手段のみでは根本的な構造改革には至らず、工場閉鎖・人員削減など別の施策との併用が重要です。

結びに代えて

今回の本社ビル売却・リースバックは、日産自動車が直面する資金繰りと財務健全化のための大胆な選択といえます。今後、賃借料の影響や賃貸契約終了後の再契約条件など、時の経過とともに注目すべきポイントも残されています。車種・生産体制・グローバル戦略の改革とともに、オフィス資産の見直しが、日産復活の鍵を握る一角となるでしょう。

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